8月11日朝、砥部町の観光センターに集合した子供たちは、おそらく今まで持ったことのないだろう重さのバックと、2本のペットボトルを抱え、まっすぐ歩くのが精一杯の様子でした。中にはキャンプを多く体験しているのでしょうか、とても軽い荷物の子供もいました。うれしかったのは、ディスカバリークラブ(以下DC)のモットーである「自分のことは自分でする」ことを理解してくださっている保護者の皆様が、子供がふらついていても手を貸さず、自分で荷物を運ばせてくださったことです。欲を言えば、「浮き輪も自分で膨らませなさい」といってくださると、大変ありがたかったです。
虫かごや、網を持っている子が多く、前日はきっとご両親らと虫取りなどの話でわくわくしたのではと思いました。つり道具を持っている子もいて私は一緒につらせてもらおうとひそかに狙っていました。出発のとき、どちらかというと見送りの保護者の方のほうが不安そうに手を振っていたような気がしたのは、私だけでしょうか?
行きのバスの中は、比較的静かで山口、河本両コーチは少し拍子抜けしたそうです。途中のトイレ休憩も「バスに乗りなさい」と言わなくてもみんなさっさと乗り込み、「この先が楽しみなんだな」と感じさせられました。
約1時間半後、無事「森の学校」に着きました。「森の学校」へは、道が途中から狭くなり、大型バスが入れないため小型バスを使用しました。少し窮屈な状態で、それもカーブの多い道のりでしたので車酔いを心配しましたが、気分が悪くなったのは一人だけでした。
宿舎は小田深山小・中学校が廃校になった後を譲り受けたものです。お世話をしてくださる係りの方の出迎えをいただき、全員でご挨拶した後、元教室だった部屋に荷物をおき、施設を案内していただきました。子供たちは教室に、コーチたちは、隣り合わせの職員室と、校長室に寝ることになりました。食堂やトイレ、シャワーの場所、使用方法も教えていただきました。建物がとても古く、狭く、トイレも便器は洋式になっていますが汲み取り式です。お風呂もシャワーのみ、寝る場所も古い畳が敷いてあるのみです。でもきちんと掃除してあり、いたるところにこの土地での花を飾って私たちをお迎えしてくださり、とってもうれしかったです。何でもそろっているところで生活している子供たちに、この場所で少し不自由を感じてほしいと思ったのですが、意外に平気で、いやな顔を見せない子供たちにたくましさを感じました。
高本校長先生が到着するまで、自由時間です。校庭には遊具やボール、タイヤが置いてあります。もちろん自然の虫さんもお出迎えです。子供たちは思い思い好きなことをし始めました。疲れなんて見せません。あちこちで歓声が上がります。ボールけったり投げたり、虫を追っかけたり、遊具を取り合ったり、タイヤ転がしたり・・・と思いきや・・な、なんとタイヤの中に入って一緒に転がってるやつがいる!!すでに服も体も真っ黒くろすけ・・・。現地のスタッフは驚きの表情。でもDCスタッフはとめません。好きなだけやって頂戴。とっておきは裏山の「秘密基地」です。急斜面をロープを使って登ると、ブランコ付の立派な基地があります。私たちの前に9日間のサマーキャンプを行った小中学生がスタッフとともに作ったものだそうです。最初はおっかなびっくりの子供たちでしたが、しまいには全員が基地に集合!!校庭には誰もいませんでした。ブランコをこぐと山肌から空中に飛んでいくような気分でした。
校長先生が到着され、講堂兼食堂でキャンプの諸注意を聞きました。ここで子供たちにレジェンドからも諸注意です。1・靴をそろえること 2・人の話は目を見て、静かに聴くこと 3・自分の荷物はきちんと整理することです。
保護者の皆様、できたかどうかはご想像にお任せいたします・・・・・(笑)
昼食をとってから散歩に出かけることになりました。お母さんの手作りのお弁当を広げました。ところが「お弁当がない」子が出現。さがせど見つからず、本人もどこにおいたかわからない。結局コーチのお弁当を分けてもらい一件落着。紙以外のお弁当箱は自分で洗ってお持ち帰りです。自然を大切にするところではごみをおいて帰らないことを知ってもらいました。結局食事後にお弁当発見!お母さんせっかく作ってくださったお弁当を持ち帰り、すみませんでした。
水筒を持たず、虫かご、網を持って散歩に出発。3班に分かれました。虫かご、網は各班に2個ずつ。奪い合いが始まります。校長先生は譲り合うことを指導してくださいました。木々の実の話や、深山の大木のお話などを聞きつつ歩きます。途中の草むらで昆虫採集が始まります。網を奪い合うことなど忘れ、素手で追いかけ、あちこちで捕れた!捕れた!の大合唱!虫かごに次々に入れていきます。ここで昆虫博士登場!!ほとんどの虫の名前を知っています。驚いたのは子供たちが「蛾だあ~~」って逃げるのをみて、「それ蝶だよ」っていうので理由を聞くと「触角見たらわかるよ、長いでしょ」って教えてくれました。おみそれいたしやした。しばらくしてつり橋登場。「こわあい~~~」なんていいながら結構楽しんでる!!わざと揺らすやつもいる!!今年のディスカバっ子なかなかたくましい!!校長先生はちょっと散歩なんていいながら、すでに40分くらい経過。途中から細い道を上ったり下ったり、涼しい深山で汗がにじんでくるころ河原に到着。のどの渇きを訴えていた子供たちは、ここで川の水をごくごく!!水筒を持たなかったのは我慢することと、ここでおいしい水を飲むことが理由。水は私がこれまで見たどこのものよりきれいでおいしかったです。各班で河原の石の積み上げ競争開始。でも子供たちは各自が積み上げたい石を自己主張し、かなわないとふてくされたり共同作業に参加しなかったり・・・・。途中で崩れるとあきらめかけたり・・・。校長先生もコーチたちもほったらかし、見守るだけ。ときおり励ますだけ。自分たちだけでやってみようね!!何とか完成。優勝班は校長先生にほめてもらいちょっと得意げ。DCの子供たちの中には今回のキャンプで初めて口をきく子もいます。こんないろんなことを体験しながら友達になってほしいとコーチたちは口をはさまず待っています。
さあ帰り道、次の川遊びを心待ちにしているせいでしょう、疲れも見せず約1時間半の散歩を終えました。さあ川遊び!!!道路から3メートル位下の川へは、「森の学校特製」の
木のはしごで下ります。みんなへっちゃら。大きな石や急流、せせらぎ、深みとさまざまな場所にそれぞれスタッフが監視につき、子供たちはあっちに行ったりこっちにきたり・・。木にまたがって流れていくのははじめての体験かも。わんぱく坊主たちは、石を動かし水の滑り台を作りはじめる。そこで一番楽しそうに作っていたのは、何をかくそう・・・・・(書けません)
川遊びの終了時間は決まっていません。今回のサマーキャンプは遊びきることを目的としています。水量が普段より減っていたため水温がすこしつめたい程度なので、子供たちはやめるとなかなかいいだしません。コーチたちへの水かけを最初は遠慮していたのですが、時間がたつと平気でバシャバシャかけていました。2時間あまりがすぎて一部の子があがりはじめ、やっと川遊び終了。シャワーは一人1分もなし。コーチがお湯を頭にかけ、体にかけ水着の中に流し込んで、次々にシャワー室からポイポイ。水着回収係りのコーチに水着とタオルを渡し子供たちは自分で着替えて食堂へ。本物の葉っぱの箸置きに、森の学校のスタッフのあったかい心が伝わり、ここでも感激。夕食はマーボー豆腐とスパゲティーサラダとわかめスープ。量が多く食べきれない子は箸をつける前に別皿に移します。足りない子はそれをもらいます。
「いただきます」は誰に対して言うのか学びます。作物を作ってくださった方、お料理してくださった方は当然ですが、「命」をいただくことも知りました。死んでくれた豚さんや牛さんの命をいただくのですから、残すことは許されません。自分が食べることのできる量をきちんと知ることも学びました。子供たちのなかには、量を間違えた子もいましたががんばって食べきりました。えらかったです。思い切りほめました。いっぱい食べて大きくなってほしいものです。食事途中で席を立っておしゃべりに行く子は、思い切りしかられました。おかわりは自分でつぎます。1,2年生は大変そうでしたがちゃんとやりました。食器も自分で調理場まで運びます。席を立ったらいすを直し、テーブルもふきました。
こういうことをまだ、自分でやっていなかったご家庭がありましたらどうか、これを機会に自分でやらせてあげてください。食後は再び自由時間、もう暗くなっているのに、みんないっせいに「外」!!!シャワー浴びたのに・・・とのコーチの思いなんてなんのその。あげく懐中電灯もって夜の秘密基地に上がる始末。これはさすがに危険なので禁止!!そしたらみんなの顔照らしてお化けごっこ・・・。広い校庭あちこち行き始めどこ行くかわからない。ようし!こうなりゃ一緒にあそぼじゃないか!!「男女対抗、ボール隠しごっこ」開始。大小さまざまなボール9個を一方が15秒の間に隠し、もう一方が15秒の間に懐中電灯で見つけてくる競争。男女別と聞いて俄然燃える子供たち。懐中電灯の明かりが叫び声とともに校庭を行ったりきたり。14・13・12・・・・と大きなカウントダウンの声・・・・森の動物さんおどろかせてごめんなさい。でも汗をかかないのはさすが小田深山です。
部屋に入ってからは各自名前を覚えてもらうための自己紹介。私は男子担当、紹介の前に何か自分をアピールしようねといったら、最初は照れていましたが、子供たちはいろんなことをしてくれました。変な顔をしたり、泳ぎの真似をしたり、そのつど笑いが出ました。みんな工夫していましたが、一人の子が手話で自己紹介をしてくれたのが印象に残っています。とても上手でした。
さあ就寝準備です。「コーチ、OOちゃんが泣きよる」・・行ってみると言葉のいじめがあったよう・・・。男女集めてコーチのお話です。私は小さなころいじめられた経験があります。そのときふだん温厚な担任の先生が顔を真っ赤にして机をたたいて「誰がいじめた!!!」と真剣にしかってくれました。私も床をたたいて、この体験を静かに子供たちに話しました。いじめは決してやってはいけないことであることを・・・・。子供たちは目をまっすぐ見て話を聞いてくれました。ひとつの体験として覚えておいてほしい、そしてもうしないでほしいと思います。でもきっと何度かこういうことを経験しないとわからないだろうとも思っています。
夜は虫が多いため窓を開けることができません。網戸はありません。子供がこれだけいると部屋はむんとしています。「暑いなあ」といいながら就寝。おしゃべりしない約束が守れるはずはありません。「コーチ時々見に来るからね」といってわざと足音立てて教室前に行きます。「し~~~~~~ん」・・・・・「お、ちゃんと寝てるジャン」・・・聞こえてないと思っているのでしょうか「プ・・」「ククク」の押し殺した声。部屋を出ると笑い声・・・。
この時間も楽しくってしょうがないひと時。何度か足音立てて、行ったりきたり。そのつど「しん」とする子供たちをからかって私自身も楽しんでしまいました。本当は外の窓からいきなり脅かしたくてうずうずしていたのですが、びっくりしすぎて眠れない子がでたらいけないと残念ながら断念しました。
30分もたたないうちに、しかることなく子供たちは寝入ってしまいました。
寝袋は敷き布団や枕と化し、あちこちに移動して思いっきり「自由なポーズ」で寝入っている子供たちの顔はとてもとてもかわいかったです。エネルギッシュな第一日目がやっと終了です。朝まで何事もなくすごせますように・・・・。お休みなさい。
ディスカバリークラブ・サマーキャンプIN小田深山第一日目の様子が終了です。
時間の都合で2日目までかけませんでした。続きは29日・31日にお渡しいたします。
文責 大野加壽子
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